令和5年度スクールプランと、スクールプランに基づいた取組に対するアンケート結果のグラフを、以下に掲載します。
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令和6年度 学校評価書
教育課程・学習支援
具体的取組
視覚障がい教育の専門性を高め、幼児生徒に主体的な学びを促す支援
体制を整えるとともに、生きる力を育む教育的支援を行う。
- 研修の機会を充実させ、教員同士の話し合いや学び合いの促進を図る。。
- 学習活動において視覚支援用具の効果的な活用法の習得を支援する。
成果と課題
- 全ての観点において目標指数を上回った。しかし、どの観点においても「おおむね」がほぼ半数を占めており、少しでも「十分」を増やせるような取組を目指す必要があると考える。
- 取組bについて、「あまりできていなかった」と、回答した保護者が1名おり、より一層保護者への理解を促すとともに、生徒の使用スキル向上を目指す取組が必要であると考えられる。
改善策・向上策
- 今後も幼児児童生徒の情報や課題を共有し、授業研究を行い、学び合える教師集団を目指す。そのために研修の設定、研修の情報共有を通して教師の学びの機会を保障し、互いの知識向上を図っていく。
- 視覚支援用具の活用について、教師の研修の機会を設定し、それが生徒に還元されるように努める。また、保護者懇談や授業参観などを通じて、保護者に取組についての理解促進を図っていく。
生徒支援
具体的取組
学校行事を通して豊かな人間性と社会性を育み、幼児児童生徒が安全・安心に学校生活を送ることができるよう支援する。
- 緊急対応マニュアルの確認や不審者対応訓練、避難訓練への参加を通して、防犯、防災意識を高め、非常事態における対応能力の向上を図ることができた。
- 不審者対応訓練、避難訓練への参加を通して、非常事態における対応能力の向上を図ることができた。
成果と課題
- 学校が浸水した際のシミュレーション映像の作成、浸水した場所を歩行する場面設定、煙体験、不審者対応などの内容を工夫し、体験型の研修を取り入れたことが、教職員の防犯・防災意識の向上に効果的であったと考える。
- 取組aが判定基準には達しなかった。緊急対応マニュアルの周知不足や、訓練時の参加意識が不十分であった可能性がある。
改善策・向上策
- 学校を取り巻く災害環境を十分に確認し、災害種別に応じて適切な避難先、避難経路、避難方法などをマニュアルで参照するようにする。
- 訓練内容を十分に周知徹底するため、全員が自分ごととして関われるような訓練を考え、常に必要な改善を図っていく。
- 福祉避難所の設営についても、引き続き、県や市と連携して取り組んでいく。
進路支援
具体的取組
生徒の自立と社会参加を目指し、関係機関と連携を深め、個に応じた進路支援の充実を図る。
- 関係機関と連携を図り、収集した情報を教員間で共有し、進路支援に積極的に活用する。
- 個のニーズに応じた情報提供や進路行事を実施し、生徒の主体的な進路選択につなげる。
成果と課題
- 全ての項目でABを合わせて100%となり、目標指数を上回った。教職員は、定期的な支援会議での情報共有や職場見学・実習等の計画など、様々な進路支援を行った。
- 生徒・保護者向けには、生徒の進路希望や盲学校に関わる内容の講演会・学習会を企画するとともに、個別の支援会議を設定するなどした。
改善策・向上策
- 卒業生が多い年に向かい、これまでの取組をさらに個別最適化し続けていく。進路選択のための支援はもちろん、卒後・進学後により自立した生活を送るための支援を大切にしていく。
啓発活動
具体的取組
視覚障がい者の職業自立の一手段である理療科について、広く県民に啓発する。
- 盲学校および理療科啓発について、学校全体で取り組む。
- 盲学校および理療科について、セミナーや関係機関訪問等の機会を活用し周知する。
成果と課題
- 啓発活動は、県内の高校進路指導窓口、市町の福祉課、社会福祉協議会、ハローワーク等を訪問し、盲学校及び理療科の啓発を行うことができた。
- 進路指導主事と理療科で計画し教職員への協力を呼びかけ実施したが、初年度ということもあり、特に高校への訪問が少なかった。これにより啓発に参加した回数が少なく、a項目の目標を達成することができなかった。次年度に向けて、さらに訪問校を増やせるよう取り組みたい。
- 啓発活動に参加した教職員の回答、bの訪問先担当者による回答は目標指数を上回った。
- 訪問先担当者による回答数が少なかった。アンケートの実施方法を工夫したい。
- 入学者につなげることはできなかったが、今後も引き続き取り組んでいきたい。
改善策・向上策
- 計画的な訪問が行えるよう理療科の人的体制について再検討する。
- 学校訪問等の啓発活動の機会を確保するとともに、ホームページ等を利用した取組を進める。
- 訪問後にアンケートをGoogleフォーム等で都度実施し、活動にフィードバックしていけるよう取り組む。
- 見えにくさを有する生徒や県民への啓発を、羽二重ねっと(福井県視覚障がい者支援ネットワーク)の連携・協力を得ながら継続していくことで、入学者確保につなげていく。
視覚障がい相談支援
具体的取組
地域の園や学校、視覚に障がいのある乳幼児・児童生徒やその保護者に対する支援に校内で連携して行う。
- 子どもの視機能や発達の様子、ニーズを把握し、担当者間で共有しながら巡回相談や来校相談などを実施する。
成果と課題
- 学校評価アンケートでは全ての観点で目標指数を上回った。相談相手校からは「定期的な観察・生徒との面談等で生徒の困り感や状況判断等をしていただき、大変助かった」との評価をいただいた。
- 部全体で情報共有し対応を検討、医療(医師、視能訓練士)との情報共有・研修等によって相談スキルの向上に努めた。
- 特別支援学校の見え方相談会は9校実施。昨年より5校増えた。中高生サマースクールでは保護者も参加して開催できた。
- 今年度は教育相談の理解啓発活動を3か所で実施。相談へつながるケースもあった。
改善策・向上策
- 相談の中で丁寧な観察と具体的な支援を伝えられるように引き続き経験研鑽を積む。中高生の相談にあたってはテスト、受験、進路対応など配慮事項や事例を整理し、部内で共通理解する。
- 巡回来校相談に加え、見え方相談会や小学生オータムスクール、中高生サマースクールの開催形態を検討し、支援のニーズに応えていく。
- 啓発活動では園長会や保健師へのミニ講話や小中学校、市町教委へのチラシ配付、現職教育等を行い、地域の視覚障がい児生への理解、教育相談を進めていく。
寄宿舎生活支援
具体的取組
集団生活を通して、社会で生きる力を育む。
- 個々の課題に対し、視覚障がいに応じた生活の知識や技能を身に付けられるよう支援する。
成果と課題
- 舎内での支援会議等で舎生の実態や情報を共有し、個々に合った支援方法の共通理解を図りながら支援を続けてきた。それにより、舎生も自身に合った生活の知識や技能の習得を実感することにつながったと考えられる。
- 身に付いた知識や技能を家庭で発揮する機会までに至らなかったため、保護者には伝わりにくかったと考えられる。今後は保護者への伝え方を工夫する。
改善策・向上策
- 引き続き、学部・保護者と連携しながら、舎生の様子や支援方法について共通理解を図り、必要に応じて舎内での支援会議を実施していく。
- 保護者に懇談やお便り等を通じて、支援方法や過程を伝え、身に付いた知識や技能を発信する。また、舎生へも習得した技能を家庭生活の中で活かすよう促していく。
人権教育
具体的取組
幼児児童生徒の人権感覚を育むとともに、他者とのかかわりの中で人権意識の向上を図る。
成果と課題
- 教員を対象としたYouTube視聴による人権研修を開催し、部落問題をはじめとする様々な人権問題について学習した。
- 幼児生徒と教職員が、学校行事や特別活動の場を通して、お互いを尊重し合い、助け合い、人権感覚を育むことができた。
改善策・向上策
- 今後も職員研修等を通して、人権意識の啓発と教育活動における人権擁護の実践に取り組んでいく。
- 幼児生徒が自己肯定感を高め、互いを尊重し合いながら成長できるよう、学校行事や特別活動を中心に日々の学校生活の中で指導していく。
業務改善
具体的取組
行事や会議等の実施方法を工夫するとともに、ICTを活用した情報の共有を通して、校務の効率化・スリム化に取り組む。
成果と課題
- 会議資料を原則電子化し、一部会議をGoogle Chatやグループウェア上で実施した。
- 校務の統廃合により、持続可能な校務運営を目指した。その過程で業務内容の精選と運営委員会のスリム化を図った。
改善策・向上策
- 新しい校務体制で、業務遂行上生じた課題については検討を続ける。
- 教職員の少人数化に対応した学校運営について、生徒主体を旨としながら、校内行事の在り方の検討とともに、関係団体業務(近盲研・近体連等)の見直しも含めて協議していく。
令和6年度学校関係者評価
【問】
- 学校評価書の成果と課題について適切かどうか。
- 成果と課題を踏まえた今後の改善策・向上策が適切か。
【意見を伺った方】
- 福井県立盲学校PTA役員
- 福井県盲教育振興会会長
- 福井県視覚障害者福祉協会会長
- 福井県視覚障がい者支援ネットワーク「羽二重ねっと」代表 (学校眼科医)
【御意見】
<教育課程・学習支援>
- 幼児児童生徒の視覚支援用具の使用については、保護者の理解促進を図るとともに、教員対象に使い方の知識やスキルを向上させるための研修を継続して行い、生徒に還元できるようにしていくことが必要だと考える。
- 「視覚障がい教育の専門性」について知りたかったが、子どもの見え方に応じたものを提供するため、認知の困難をどう補っていくか適切に判断・支援できることだと理解した。
<生徒支援>
- 危機管理への理解が不十分だと感じた教職員が3%いたことに疑問を持ったが、災害種別や場所に応じたマニュアルが複数あるため、それらを網羅することが容易ではないことがわかった。
- 目標指数を100%にしたことが素晴らしい。命に関することなので理解できる。
<進路支援>
- 生徒それぞれの目標に応じた進路支援を十分に行ってほしい。進路行事の個別最適化に努めている現状を今後も継続してほしい。
- 高校・大学進学者、あはき希望者の有無や人数を知りたかった。
<啓発活動>
- 回答結果の「参加する機会がなかった」という事情を知りたかったが、授業の関係で参加できない教員がいたことが分かった。行政にはかなり啓発が進み、出前授業も10数校できたこともわかったため、引き続き取り組んでほしい。
- 高校には、進路指導部窓口にしか啓発していないことに疑問を持った。担当教員からの説明により、新採研と養護教諭研修に毎年盲学校教員が赴いて講義を行っていることを知ったが、各校保健室への啓発も行ってほしい。
- 他校のPTAや、障がいを持った子どものいる学校への啓発の状況を知りたい。説明より、他の支援学校に見え方相談をしていることが分かった。来年度5月、小中高校への「見え方アンケート」の実施を検討していることや、他県から啓発方法について情報収集していることも分かった。
<視覚障がい相談支援>
- 先日、前々任の文科省調査官から、「教育相談を行った子どもを丁寧にフォローアップするとよい」と言われたため、盲学校での状況を知りたかった。結果を引き継ぎながら相談活動がなされている状態を継続してほしい。
<寄宿舎生活支援>
- 保護者が自分の子どもを見て「できなかった」と回答するのが疑問である。寄宿舎で練習しているが、身に付けた技能を家庭で発揮できる機会がなかったのではないかと思う。指導員が、掃除の方法等の日常生活支援を丁寧に行い、家庭での活動に取り入れるよう、保護者と相談していることは伝わった。今後も継続して取り組んでほしい。
- 集団生活の良い面を取り入れるため、グループホーム式の寮にはできないのか。舎生数が限られており難しい面もあるが、アイディアとして検討してほしい。
<学校業務改善のための取組>
- 校務分掌は、今年初めて組み替えたのかどうか知りたかった。振り返りをする予定とのことであるが、行ってほしい。
- 職員に対して、タイムカードを17:30に押すよう指示したりしていないか。していないならそれでよいが、働き方改革と言っても教員のするべきことは従前と変わらない。学校が良い方向に変わっているなら、それでよい。
<人権教育>
- 特記事項なし
<全体的を通して>
- 盲学校の生徒には、弱視の生徒も含めて点字をしっかり学んで欲しい。ICTを活用する力を付ける時間と並行して、点字学習も継続して行ってほしい。
【学校関係者評価を踏まえた今後について】
- 重点目標に基づいた取り組み案を検討し、次年度につなげる。
- 視覚障がいに特化した特別支援学校として、学習支援・生活支援の双方について専門性の向上を図る。また、点字への専門性を継承しつつ、幼児児童生徒個々の見え方に応じた個別最適な支援を継続していく。
- 啓発活動について、対象や時期、方法等の検討を重ねていく。幼児期での啓発や、広範囲へのアンケート等が可能であれば取り組む。
- 上記の取り組みを実施しながら、在籍生徒数減少の実態に応じて、交流学習を通した協働的な学びの場も設定できるようにする。