令和5年度スクールプランと、スクールプランに基づいた取組に対するアンケート結果のグラフを、以下に掲載します。


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令和5年度 学校評価書

教育課程・学習支援

具体的取組

 個に応じた指導体制を整え、幼児児童生徒に主体的な学びを促すとともに、生きる力を育む教育的支援を行う。

  1. 教員同士の話し合いと学び合いを充実させる。
  2. 様々な教育活動を通し、生活の中で生かせる知識や技能を培う。

成果と課題

  • 取組aについては、継続した取組により、教員の中に日々教材や授業づくりに向かう姿勢が根付いていることが伺える。それが「楽しいと思えるしかけを取り入れた授業」づくりに生かされていると考えられる。
  • 取組bについては、児童生徒へのアンケートでは「十分」「ある程度」できた、が100%であった。教師の日々の教材や授業づくりへの取組により、児童生徒が自分の学習成果や成長を意識できることにつながったと考えられる。しかし保護者では、「あまりできていなかった」、との回答が1名あった。このことを真摯に受け止めたい。

改善策・向上策

  • 幼児児童生徒の情報や課題を共有し、話し合いをもち、学び合える教師集団であり続けられるような取組を続けていきたい。そのために、研修会等を設定したり、外部の研修会等の情報を提供したりするなどして、教師が教材・授業づくりに還元できるように努めていきたい。
  • 児童生徒が自分の成長を実感できるような工夫した教育活動を、教師が提供できるような体制づくりに努めたい。
  • 保護者会などで、個別の教育支援計画等を利用して、幼児児童生徒の成長を伝えることで、保護者への理解促進を図る取組を続けたい。

生徒支援

具体的取組

 学校生活を通して、豊かな人間性と社会性を育む

  1. いじめの未然防止や早期発見に努め、思いやりや助け合いの心をもって行動する幼児児童生徒を育てる。
  2. 幼児児童生徒の協同的な活動や行事への積極的な参加を促し、豊かな人間関係を育む。

成果と課題

  • 相談担当や各学部と情報交換を行ったことでいじめを未然に防ぎ、いじめの認知件数は今年度も0件であった。
  • SNSの使い方やマナーを学ぶための情報モラル研修会を実施し、自分や相手を大切にする気持ちを育むことができた。
  • 体育祭では、児童生徒がスポーツレクリエーションの運営(受付など)をし、多数の参加者、来場者とコミュニケーションをとれるようにサポートした。文化祭では、各学部の当日発表だけでなく、企画運営・発表準備を通して、協同的な活動を充実させることができた。
  • 課題は、生徒数が少なく、限られた人間
  • 関係の中でいかに豊かな学びの場を保障するかである。

改善策・向上策

  • 今後も教員間の情報交換を密にし、生徒自身が自分のこと、相手のことを理解できるような機会(研修会等)を増やしていく。
  • 行事では、さらに他者(教員、家族、学校関係者など)との関わりを増やし、生徒自身で企画運営できるように工夫していきたい。

進路支援

具体的取組

 幼児児童生徒の自立と社会参加を目指し、居住地域や関係機関と連携を深め、個に応じた進路支援の充実を図る。

  1. 関係機関と連携を図り、収集した情報を教員間で共有し、進路支援に積極的に活用する。
  2. 個のニーズに応じた情報提供や進路行事を実施し、進路に関する考えを深め、進路選択につなげる。

成果と課題

  • すべての観点において、目標指数を上回ることができた。中普部内での担任・学部長・進路担当を含んだ進路に関する支援会議を月一回実施することにより、個に応じた支援を探り、適切な情報提供ができた。それにより、生徒も進路選択に向けて動き出し、徐々に考えを深め、成果が現れたと考える。保護者に対しても、要望や必要に応じた学習会や相談会を設けることにより成果を得ることができた。しかし、1名の保護者については、ニーズに応えることができなかったことを反省し、今後更に丁寧な聞き取りを行う必要を感じている。

改善策・向上策

  • 学部内での進路支援について、進路支援会議の内容を学部全体で共有したり、進路指導部内で集約したりする体制が整ってきた。今後、高等部生徒の多様な進路に向け、更に、教員一人一人が進路に関する情報を積極的に収集し、情報の取捨選択と適切な提供・支援に向け、学校全体で取り組んでいきたい。
  • 進路希望調査や懇談会を通し、保護者一人一人の願いや要望等を今まで以上に丁寧にすくい上げ、個々に対応した進路に関する相談会を開催して、保護者支援に努めたい。

保健管理

具体的取組

 幼児児童生徒の生命を守り、健康を維持するための安心、安全で衛生的な環境づくりを目指す。

  1. 安全点検や避難訓練を通して、安全の確保と防災意識の向上を図る。
  2. 保健だよりや給食だより等で保健知識の普及を図り、健康観察や健康診断の結果をもとに、適切な保健支援を行う。

成果と課題

  • aは全ての観点において目標指数を上回った。今年度、避難訓練や研修会の内容を工夫し、体験型の研修を取り入れたことが、効果的であったと考える。
  • bの保健支援に関しては、今年度学校保健目標と給食目標を連携させ、給食だより・保健だよりそれぞれで同内容の記事を載せ、生徒に複数回意識づける工夫をした。また、寄宿舎と連携し、寄宿舎指導員が保健目標に沿った体験型の保健指導を舎生に行った。しかし、生徒アンケートの結果、判定基準には達しなかった。意識や行動を変えていくためには、保健部や寄宿舎のみの取組では不十分だったため、学校全体で取り組んでいきたい。

改善策・向上策

  • 令和5年7月13日に大雨により学校横の荒川が氾濫危険水位を超えたことや、令和6年1月1日の能登半島地震が災害への備えや対応について当事者意識をもって考えるきっかけとなっている。今後も、防災・安全意識を高め、維持できるよう研修を重ねたい。また、福祉避難所の設営についても、県や市と連携して取り組んでいきたい。
  • 保健支援については、始業式・終業式等の全体連絡の場を活用したり、担任や寄宿舎等と連携しておたよりや診断結果等の内容を伝えたり、体験型の指導を取り入れたりして、教育活動全体を通して取組を進めたい。

図書・研究

具体的取組

 視覚障がい教育の専門性を高め、主体的で対話的な授業づくりのための研究・研修活動を推進する。

  1. 専門性チェックシートを活用して、視覚障がい教育における専門性の向上を図る。
  2. 自ら学ぶ意欲を引き出す授業づくりに役立つ研修や研究を推進する。

成果と課題

  • 全ての観点において目標指数を上回った。
  • 専門性チェックシートによる専門性の可視化が専門性向上に寄与していると考えられる。ただし、チェックシートを活用し研修に生かすことが「あまりできなかった」との回答が5名あったことや、「十分にできた」ではなく「おおむねできた」の割合が多い点は課題であり、今後改善していきたい。
  • 教員の「自ら学ぶ意欲を引き出す授業づくり」に対する取組が功を奏していると考えられる。今後は学ぶことの楽しさを「十分に感じることができた」の割合が増えるよう取り組んでいきたい。

改善策・向上策

  • 専門性チェックシートを定期的にスクールウェアの掲示板に掲載し、必要性を意識づけする取組を継続する。また、チェック結果を参考に必要な研修を専門研究部と連携を取りながら計画し、今後も専門性の向上を促していきたい。
  • 集合型研修だけでなく、オンラインやYouTube視聴等のオンデマンド、ハイブリッドといった様々な形式の研修を行い、研修をより簡便に効果的に行なえるよう取り組んでいきたい。
  • 児童生徒が、学ぶことの楽しさをより感じることができるよう、個々のニーズや特性を把握した上で、教員の授業づくりに関するスキルの向上に向けて、研修・研究活動を推進したい。

視覚障がい相談支援

具体的取組

 地域の園や学校、視覚に障がいのある乳幼児・児童生徒やその保護者に対する支援に校内で連携して行う。

  1. 視覚障がい相談支援について専門性向上に努め、校内外への啓発と連携を進める。
  2. 子どもの視機能や発達の様子、ニーズを把握し、担当者間で共有しながら相談活動を実施する。

成果と課題

  • 部全体で情報共有し、対応を検討することによって相談スキルの向上に努めた。来校相談では部員以外の教員も入り、活動や専門性の幅が広がった。
  • 学校評価アンケートではすべての観点で目標を上回った。相談相手校からは「初めて弱視の生徒を受け入れる不安を解消できた。具体的な支援が分かった」との評価をいただいた。保護者(1名)からあまり情報を得ることができなかったとの評価があった。
  • 特別支援学校の見え方相談会は4校実施。今後も継続して行う。
  • 今年度は理解啓発活動があまりできなかった。時期や対象を計画的に考えていく必要がある。

改善策・向上策

  • 中高生の相談にあたっては受験や進路を見据え、配慮事項の整理、個別の支援計画の作成など部内で共通理解できるようにする。相談部員が入れ替わっても対応できるようにマニュアル化したり、必要なデータをまとめたりする。
  • 今年度は中高生サマースクールを行った。今後も対象児生・保護者同士が関わる機会を考えていく。
  • 啓発活動については学校全体で取り組めるよう相談部からも提案する。サテライト教室を利用して嶺南地域の園や保健師への啓発活動等をさらに充実させる。

寄宿舎

具体的取組

 集団生活を通して、社会で生きる力を育む。

  1. 一人一人の課題に応じて、基本的生活習慣の習得を目指した支援を行う。
  2. 寮生会活動を通して、自主性や協調性を育む。

成果と課題

  • 日頃から舎生の実態や情報を共有し、そこから出た課題等に沿って指導員研修を行い、支援方法の共通理解を図った。学部・保護者とも情報交換や連携をとることをしていたが、伝え方に課題が残った。
  • 舎生が自分の思いや考えを出し合いながら協力して寮生会活動を行ってきたことが、「十分にできた。」の回答を半数以上得ることにつながったと考える。
  • 9割が「おおむねできた。」との評価であった。今後は、「十分にできた」を得られるよう、舎での取組や支援内容について伝える機会をさらに増やしていく。

改善策・向上策

  • 引き続き、舎生の様子や支援方法について共通理解を図り、必要に応じて、舎内での支援会議を実施していく。また、報告・連絡を徹底し、学部・保護者へ丁寧に伝えることに努めたい。
  • 今後は、舎生たちが主体的に寮生会活動を行い、責任感や達成感がもてるように工夫していきたい。

人権教育

具体的取組

 幼児児童生徒の人権感覚を育むとともに、他者とのかかわりの中で人権意識の向上を図る。

成果と課題

  • 教員を対象としたYouTube視聴による人権研修を開催し、部落問題をはじめとする様々な人権問題について学習した。
  • 幼児児童生徒と教職員が、学校行事や特別活動の場を通して、お互いを尊重するとともに助けあいを通して、人権感覚を育むことができた。

改善策・向上策

  • 今後も職員研修等を通して、人権意識の啓発と教育活動における人権擁護の実践に取り組んでいきたい。
  • 幼児児童生徒が自己肯定感を高め、互いを尊重し合いながら成長できるよう、学校行事や特別活動を中心に指導していきたい。

業務改善

具体的取組

 行事や会議等の実施方法を工夫するとともに、ICTを活用した情報の共有を通して、校務の効率化・スリム化に取り組む。

成果と課題

  • 会議資料の原則電子化、一部会議のGoogle Chatやグループウェア上での実施を進めた。
  • 校務の統廃合により持続可能な校務運営に向けた協議を行い、次年度からの実施することとなった。その過程で業務内容の精選と運営委員会のスリム化を図った。

改善策・向上策

  • 新しい校務体制の中で、一部に負担が集中することのないよう配慮するとともに、運用をとおした見直しを進めていく。
  • 教職員の少人数化に対応した持続可能な学校運営について、関係団体業務(近盲研・近体連等)の見直しも含めて協議していきたい。

令和5年度学校関係者評価

【問】

  • 学校評価書の成果と課題について適切かどうか。
  • 成果と課題を踏まえた今後の改善策・向上策が適切か。

【意見を伺った方】

  • 福井県立盲学校PTA会長・役員
  • 福井県盲教育振興会会長
  • 福井県視覚障害者協会会長
  • 福井県視覚障がい者支援ネットワーク「羽二重ねっと」代表

【御意見】

<教育課程・学習支援>

  • 高等部普通科の準ずる課程の生徒は、ZOOMを利用した交流も良いが、県内の普通高校に見学へ行き、雰囲気を味わえると良い。井の中の蛙にならないような経験ができると良い。以前、本校の普通科の生徒が県内の県立高校へ行き交流したことがあり、非常に良い機会となった。
  • 授業見学などで保護者や外部の方に授業や学校を見てもらう機会を設けることが、教員のスキルアップになる。

<生徒支援>

  • 学校内の生徒同士は文化祭等で交流がある。が、寄宿舎から買い物に行ったりしたときなどに一般の人とのコミュニケーションをとることがあるが、そのとり方が分からない。これを支援してあげられる活動があると良い。
  • 交通ルールを知ることは大切なことである。

<進路支援>

  • 進路講演会での年金の話は知らなかったことばかりでとても勉強になった。卒業生の経験談や受け入れ側の会社の話も聞けると進路指導の参考になると思うので今後考えてほしい。
  • 進路関係として、就職後3年後、10年後の様子を調査する。本校の進路には、2パターンある。本校に在籍して理療科に進学し、理療関係(理療科教員含め)に就職する場合と一般社会を経験し、中途から理療関係の職に就く場合がある。その違いを調査していくことも必要ではないか。

<保健管理>

  • コロナ関係の学校からのメール、状況に合わせて少なくなっていった。このような形でコロナに限らず、必要な情報を必要なときに流していってほしい。

<図書・研修>

  • 今後も幼児児童生徒が、学習の中で効果的に視覚支援機器を使えるよう取り組んでいってほしい。

<視覚障がい相談支援>

  • 療育センター等に通っているお子さんの保護者に聞くと、学校で相談というとちょっと行きにくい、でも知りたい、と思っている方はいる。ポスターで字が多いと目にとまりにくいので、写真やイラストをもっと取り入れた方が分かりやすいと思う。学校での相談は遊びながら見てくれるよと伝えると聞かれた人は安心する。療育センターに通うお子さんは目に障害ある場合が多い。
  • 教育相談部員が他の特別支援学校へ行くだけでなく、盲学校に来校してもらい、盲学校の設備や体制が知ってもらうことも必要と思われる。

<寄宿舎>

  • 保護者懇談で、担任だけでなく寄宿舎担当も同席してくれると、一緒に話を聞けて良かったし、また先生方もお互いの様子が分かり良いのではと思った。

<人権教育>

  • 引き続き、人権意識の向上と幼児児童生徒の自己肯定感を高める取組をお願いしたい。

<全体的を通して>

  • 生徒数が減っていることについては、学校を知らないことでハードルが上がっていることもあるのかもしれないし、医学の進歩もあるのだろう。来年度中学部に在籍者いない。親としては、無理しても、普通学校で学ばせたい、できるところまでは通常学校で学びたい・学ばせたいと思う部分もあるだろう。インクルーシブ教育の流れがあるだろう。
  • 在籍者を増やすための取組だけでなく、医療・福祉・教育が一体となった機関、視覚障害教育のセンター的機能をさらに形にしていく取組もお願いしたい。

【学校関係者評価を踏まえた今後について】

  • 具体的案を検討し次年度につなげたい。
  • 本県における視覚障がいに特化した特別支援学校として、職員全員への専門性の浸透を図り、また、盲学校が、視覚障がい教育を幅広く理解してもらえるよう、効果的な啓発方法について今回の御意見を踏まえながら探り、校内全員で啓発活動に取り組みたい。