教科
全盲生や視力が極めて弱い児童生徒は、点字本で勉強しています。数学、社会、理科などの点字本には、点字の他に、点図が載っています。また、手で触って理解できる立体コピーや、音声による教材も使用します。
点字文書を作るときは、専用のタイプライター(パーキンスブレイラー)や、点字板を使用します。パソコンで文書を作成して、点字プリンターで出力することもできます。
立体コピーは、専用用紙(カプセルペーパ)に、地図、イラスト、文字、図形などをコピーあるいは黒色で手書きして、専用の装置(立体コピー現像機)を通すと、黒色の印字部分が熱を吸収して浮き上がり、立体コピーができあがります。図形が立体的に盛り上がっているので、指先で触知できます。具体的な作り方は数学のページで御覧下さい。
また、弱視生(視力が弱い)は、拡大本や拡大読書器などを使用して勉強しています。個人差はありますが、文字フォントを大きくしたり、白黒反転させたりして、読みやすいものを準備します。黒板を見るときは単眼鏡を使用する生徒もいます。
単眼鏡を用いた授業風景
点字教科書とパーキンスブレイラー
国語
さわる絵本、音のでるポップアート絵本
市販のものや自作のさわる絵本で、全盲生は学習しています。『これなあに』は生徒が喜んだものの1つです。全盲生が喜ぶ教材として、他にボタンをおすと登場人物のせりふをきくことができる音のでるポップアート絵本もあります。「さるかにかっせん」「ももたろう」「しらゆきひめ」「おやゆびひめ」等があります。
全盲生の漢字学習
全盲生も墨字の漢字を学習します。字形を立体コピーで作り、意味、音訓、熟語、例文を点字でかきこんだ漢字カードで学習します。1文字を、レーズライター1枚に何回も書く練習をします。
弱視生の漢字学習
部首に着目し、部首が同じ漢字を1つの「家族」と考え、意味に類似性があることに気づかせて学習するようにします。弱視生は、画数の多い漢字を覚えるのが苦手なので、使用頻度の高い漢字を選定し、なるべくよく使う字ばかりを集中して学習するようにします。
ききとり、毎日の作文
自分で作文できない子に、作文してあげて、質問形式で内容を確認する「ききとり」を行います。他にも、毎日のできごとをファイルに作文する「毎日の作文」もおこなって効果をあげています。
社会
社会のしくみや成り立ち・歴史などを調べることを通して社会認識を深めたり、多面的に捉える力を身につけたり、「どうなることが世の中にとってよいのか」そのために「自分だったらどうするか」について考える力を身につけるための教科です。
毎日の学習ではひとりひとりの障害に合わせて教材を使用しています。自由に描いたものを特殊な用紙にコピーして、それを立体コピー機にかけると、熱処理により描いた黒い部分が浮き上がります。写真のようにビーズや感触の異なる紙などを貼り合わせて資料を作っていきます。地図や資料など、ひとりひとりの児童・生徒に合った物を使用します。
模型類は、触察することによって、多くの情報を得られるので学習の理解により役立ちます。実物や模型を触って学習する機会が多くなっています。
立体コピー
地球儀
模型
手作りの木製立体世界地図
数学
盲学校では教材の作り方に特徴があります。
立体コピーで、2次関数のグラフをつくってみましょう。
- コピーを撮る用紙をコピー機の上にセットし、専用用紙にコピーします。
- 立体コピーされた用紙を立体コピー現像機にかけます。すると黒い文字の部分が熱によって浮き出て印刷されます。
- 立体コピー用紙を指先で凹凸を確認しながらマップピンで座標をとっていきます。
- マップピンでとめた点を輪ゴムで結ぶと2次関数のグラフができあがりです。
原図を専用用紙にコピー
立体コピーのできあがり
マップピンをさす
グラフのできあがり
理科
大きなデジタル表示のある音声電圧計、電流計、温度計や、感光器という光の強弱に応じて音の高低が変化する装置があります。感光器は色の変化にも反応するので、いろいろな化学変化の様子を知る装置として活用しています。
カタラーゼの働きを調べる実験
肝臓を加熱しています
物のもえかたの実験
感光器で炎が消えていく様子を調べます
静電気の実験
感光器で箔が開く様子を調べます
有機物と無機物の実験
音楽
音楽鑑賞
合奏
美術
紙粘土で作ったリンゴの色づけ
生徒作品展示(版画)
技術・家庭
生活とものづくり
本箱の作成
さしがねを用いてのけがき
作物の栽培
ミニトマトの栽培
間引き
保健体育
全盲卓球
心肺蘇生訓練(保健)
英語
ALTを交えての授業風景
コミュニケーション能力の育成
点字での授業風景
点字板で記録している様子