令和4年度スクールプランと、スクールプランに基づいた取組に対するアンケート結果のグラフを、以下に掲載します。
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令和4年度 学校評価書
教育課程・学習支援
具体的取組
個に応じた指導体制を整え、幼児児童生徒に主体的な学びを促すとともに、他者とのかかわりの中で生きる力を育む教育的支援を行う。
- 教科会や学部会などを通して、教員同士の話し合いと学び合いを充実させる。
- 他者とのかかわりを通し様々な体験・経験をすることで、生活の中で生かせる知識や技能を身に付ける。
成果と課題
- 全ての観点において目標指数を上回った。
- 取組aについては、教員同士の学び合いをより授業実践に生かせるような方策を考える必要がある結果となった。
- 取組bについては、保護者へのアンケートでは「十分」「ある程度」できた、が100%であった。保護者へ幼児児童生徒の変化の理解促進を図ることができた結果と考えられる。しかし児童生徒では、「あまりできなかった」、との回答が1名あった。このことを真摯に受け止めたい。
改善策・向上策
- 幼児児童生徒の情報や課題を共有し、日々話し合いを重ね、学び合える教師集団であり続けられるよう、研鑽や学び合いの活性化を図りたい。そのために、図書研究部と協力し、研修の情報を提供したり、研修会等を設けたりする取組を促進し、また外部の研修会等に参加しやすい環境づくりを心掛け、それらが教材研究に生かせる体制づくりを目指したい。
- 児童生徒が自分の成長を実感できるよう、できる体験・経験、また、ICTを利用した体験・経験を工夫しながら提供できる体制づくりを行いたい。
- 保護者会などで、個別の教育支援計画等を利用して、幼児児童生徒の成長を伝えることで、保護者への理解促進を図る取組を続けたい。
生徒支援
具体的取組
学校生活を通して、豊かな人間性と社会性を育む
- いじめの未然防止や早期発見に努め、思いやりや助け合いの心をもって行動する幼児児童生徒を育てる。
- 幼児児童生徒の協同的な活動や行事への積極的な参加を促し、豊かな人間関係を育む。
成果と課題
- 相談係や各学部と連携し、幼児児童生徒の情報交換を行うとともに、「交通安全教室」や「SOSの出し方教育」等の研修で自分の身を守る手立てを習得する場を設けた。いじめの認知件数は今年度も0である。
- 引き続き新型コロナウイルス感染症が学校行事に影響しているが、開催方法を工夫して実施できた。保護者を含めた学校全体の協力もあって、幼児児童生徒は、集団活動や行事に積極的に参加していると思われる。少ない人数の中で、幼児児童生徒それぞれが満足できるやり取りを工夫していくことが課題である。
改善策・向上策
- いじめの未然防止、早期発見に努めるとともに、幼児児童生徒が、周囲の力を借りながら、自分で自分自身を守るための研修等を継続していきたい。
- 行事の実施が徐々に正常化し、アンケート結果からは、児童生徒が一定の満足感を感じていることがわかる。毎日の活動の中でのやりとりやそれによる満足感が、体育祭や文化祭等の大きな行事につながっていくよう工夫して取り組みたい。
進路支援
具体的取組
幼児児童生徒の自立と社会参加を目指し、居住地域や関係機関と連携を深め、個に応じた進路支援の充実を図る。
- 関係機関と連携を図り、収集した情報を教員間で共有し、進路支援に積極的に活用する。
- 個のニーズに応じた情報提供や進路行事の段階的な実施により、生徒・保護者の進路に関する意識を高める。
成果と課題
- 全ての観点において目標指数を上回ったことから、今年度重点を置いたチームでの取組が、進路支援の充実に効果的であったといえる。また、懇談会や進路だより、進路講演会、キャリア教育のオンライン授業、進路体験等を通して、様々な情報や体験の場の提供に努めてきたが、それらが各生徒の段階に合ったものであり、進路を考える一助につながった。保護者に対しては、進路希望調査で要望のあった内容「年金」を進路講演会で取り上げることができ、好評であった。
- 今後も関係機関と連携を深め、生徒・保護者の多様なニーズに応えられるよう努めたい。
改善策・向上策
- 担任、学部、進路指導部で進路に関する情報を共有し、個に応じた進路支援を実践していく体制が整ってきた。今後は、教職員全体での支援体制を構築していきたい。
- 次年度は高等部の生徒が増え、進路選択が間近に迫る。生徒や保護者に対し、ニーズに応じた段階的な情報提供や進路活動を行い、生徒の進路決定に向けた取組を計画的に進めていきたい。
- 多様な進路選択に対応できるよう、進学先や職場開拓にあたり、関係機関や企業へ出向いたり、本校への見学を呼び掛けたりと、幅を広げた啓発活動を進めたい。
保健管理
具体的取組
幼児児童生徒の生命を守り、健康を維持するための安全で衛生的な環境づくりを目指す。
- 安全点検や避難訓練を通して、安全の確保と防災意識の向上を図る。
- 保健・給食目標を理解し、年間を通して健康的な生活ができるように指導する。
成果と課題
- 1箇所を複数の新たな目で安全点検することで確実な事故の未然防止に努めた。また、児童生徒を対象に校舎内外の危険個所や場面についてアンケートを行い、安全の確保に努めた。
- 避難訓練を3回実施した。水害対策として垂直避難訓練では、車椅子利用生徒の搬送法や避難後の対応など、今後の課題が明らかになった。
- 児童生徒への感染症予防対策啓発のために保健だよりの発行や掲示を行った。しかし生徒1名から「あまりできなかった」との回答があったため、内容や啓発方法について検討したい。
- 引き続き校内消毒の実施、複数箇所でのスクール形式給食の実施や健康観察の徹底などに努めた。
改善策・向上策
- 自然災害に対応した避難訓練を3回実施する。全校や、学部や教科、クラス等の小集団を対象に、各集団の特性に応じた訓練や搬送法などの研修にも取り組みたい。
- 県からの要請を受け、本校が福祉避難所となった場合の感染症対策も含めた運営についての具体的内容を取りまとめていきたい。
- 感染症予防の観点から、引き続き検温、手洗い、マスク着用、3密の回避、健康観察の徹底等について、学校医や危機管理委員会と連携していきたい。また児童生徒が進んで感染予防対策ができるよう、啓発手段を検討したい。
図書・研究
具体的取組
視覚障がい教育の専門性を高め、指導内容と幼児児童生徒の障がいとニーズに応じた授業づくりのため、研究・研修を推進する。
- 専門性チェックシートを活用して、視覚障がい教育における専門性の向上に努める。
- 専門研究部と連携を図り、視覚・情報支援機器等の活用に関する研修の方法を工夫し、情報提供に努める。
成果と課題
- 全ての観点において目標指数を上回った。専門性チェックシートが専門性の可視化や向上に活用されていると考える。また、授業研究部や専門研究部の取組を通して、一人一人のニーズに応じた教材・授業づくりがされていたと考える。ただし、チェックシートを活用し研修に生かすことが「あまりできなかった」の回答が5名あったことや「おおむねできた」の割合が多い点は、課題である。
- 生徒が生活や学習の中で、視覚・情報支援機器等を活用することが定着しつつあると考えられる。
改善策・向上策
- 専門性チェックシートを定期的にスクールウェアの掲示板に掲載して、チェックする取組を継続する。また、チェックシートの評価から必要な研修を専門研究部と連携を取りながら、計画していく。研修会の内容とチェックシートの項目との関連性を明確に発信して、今後も専門性向上を促していきたい。
- 集合型の研修を再開しつつある。開催及び参加のしやすさから、オンラインやYouTube視聴での研修の利点も多いので、今後も、様々な方法で開催の仕方を工夫し、研修を実施していきたい。
- 生徒のニーズに応じて、視覚・障害支援機器を学習や生活に活かせるように情報発信したい。
視覚障がい相談支援
具体的取組
関係機関と連携し、地域の園や学校、視覚に障がいのある乳幼児・児童生徒やその保護者に対する支援に努める。
- 視覚障がい相談支援について専門性向上に努め、校内外への啓発と連携を進める。
- 子どもの視機能や発達の様子、ニーズを踏まえ、見え方や支援の方法について保護者や在籍校に的確に分かりやすく伝える。
成果と課題
- 来校相談では、点字指導・ICT機器の活用・歩行指導などについて、教育相談部員以外の教員や視覚障がい当事者教員とも協力して対応できた。
- 保健師、園長会、養護教諭初任者研修等での啓発活動のほか、県立学校の養護教諭を対象に盲学校や盲学校の教育相談についての認知度や弱視児生への支援状況の調査を実施できた。
- 関係保護者からは定期相談によって安心して学校生活が送れるとの声が多く、関係機関職員からは教育相談で得た情報を「環境設定、教材の準備や作成」で特に活用できたとのことだった。おおむね良い評価を得たが、特別支援学校では相談児の実態把握が難しいケースも1件あった。
改善策・向上策
- 中高生の相談にあたっては受験や進路などの相談にも対応できるよう努めるなど、引き続き校内外と連携することで相談部員のスキルアップを図りたい。
- 養護教諭対象の啓発活動を引き続き実施し、相談需要の漏れがないよう努めたい。
- 3年ぶりに小学生対象のオータムスクールを開催し、児童の交流や保護者研修を実施することができ、有意義であった。来年度は中高生の相談生と保護者にも情報提供や交流の場を提供する行事を計画・実施したい。
- 特別支援学校からの相談について、実施方法を再検討する。
寄宿舎
具体的取組
集団生活を通して、社会で生きる力を育む。
- 一人一人の課題に応じて、基本的生活習慣の習得を目指した支援を行う。
- 寮生会活動を通して、協調性や社会性を身に付ける。
成果と課題
- 舎生の様子や実態について、指導員間で情報共有できている。学部とも連携し、課題への取り組み方を話し合い、寄宿舎で工夫しながら実践した。
- これまでの寮生会の経験を活かし、舎生同士で自主的に話し合いを設けている場面が見られた。異年齢間においても、共に生活しかかわりを多くもてたことで、互いを理解し助け合うことができたと考える。
- 舎での取組や支援について、これまでも保護者へは伝えてはきたが、どのような支援を行っているのかを伝える機会を増やしていくことが今後の課題である。
改善策・向上策
- 舎生同士が互いに思いやり助け合えるよう、寮生会活動において個々の立場や役割を尊重しながら、自分の考えや意見が言える雰囲気づくりに努めたい。
- 引き続き日々の引継ぎや学部、保護者との連携を通して、舎生一人一人の実態や課題を把握していく。さらに、会議を通して、支援方法を共有し工夫できるように努めたい。
人権教育
具体的取組
幼児児童生徒の人権感覚を育むとともに、他者とのかかわりの中で人権意識の向上を図る。
成果と課題
- 教員を対象としたYouTube視聴による人権研修を開催し、部落問題をはじめとする様々な人権問題について学習した。
- 幼児児童生徒と教職員が、学校行事や特別活動の場を通して、お互いを尊重するとともに助けあいを通して、人権感覚を育むことができた。
改善策・向上策
- 今後も職員研修等を通して、人権意識の啓発と教育活動における人権擁護の実践に取り組んでいきたい。
- 幼児児童生徒が自己肯定感を高め、互いを尊重し合いながら成長できるよう、学校行事や特別活動を中心に指導していきたい。
令和4年度学校関係者評価
【問】
- 学校評価書の成果と課題について適切かどうか。
- 成果と課題を踏まえた今後の改善策・向上策が適切か。
【意見を伺った方】
- 福井県立盲学校PTA会長・役員
- 福井県盲教育振興会会長
- 福井県視覚障害者協会会長
- 福井県視覚障がい者支援ネットワーク「羽二重ねっと」代表
【御意見】
<教育課程・学習支援>
- 高等部普通科の準ずる課程の生徒は、ZOOMを利用した交流も良いが、県内の普通高校に見学へ行き、雰囲気を味わえると良い。井の中の蛙にならないような経験ができると良い。以前、本校の普通科の生徒が県内の県立高校へ行き交流したことがあり、非常に良い機会となった。
- 授業見学などで保護者や外部の方に授業や学校を見てもらう機会を設けることが、教員のスキルアップになる。
<生徒支援>
- 学校内の生徒同士は文化祭等で交流がある。が、寄宿舎から買い物に行ったりしたときなどに一般の人とのコミュニケーションをとることがあるが、そのとり方が分からない。これを支援してあげられる活動があると良い。
- 交通ルールを知ることは大切なことである。
<進路支援>
- 進路講演会での年金の話は知らなかったことばかりでとても勉強になった。卒業生の経験談や受け入れ側の会社の話も聞けると進路指導の参考になると思うので今後考えてほしい。
- 進路関係として、就職後3年後、10年後の様子を調査する。本校の進路には、2パターンある。本校に在籍して理療科に進学し、理療関係(理療科教員含め)に就職する場合と一般社会を経験し、中途から理療関係の職に就く場合がある。その違いを調査していくことも必要ではないか。
<保健管理>
- コロナ関係の学校からのメール、状況に合わせて少なくなっていった。このような形でコロナに限らず、必要な情報を必要なときに流していってほしい。
<図書・研修>
- 今後も幼児児童生徒が、学習の中で効果的に視覚支援機器を使えるよう取り組んでいってほしい。
<視覚障がい相談支援>
- 療育センター等に通っているお子さんの保護者に聞くと、学校で相談というとちょっと行きにくい、でも知りたい、と思っている方はいる。ポスターで字が多いと目にとまりにくいので、写真やイラストをもっと取り入れた方が分かりやすいと思う。学校での相談は遊びながら見てくれるよと伝えると聞かれた人は安心する。療育センターに通うお子さんは目に障害ある場合が多い。
- 教育相談部員が他の特別支援学校へ行くだけでなく、盲学校に来校してもらい、盲学校の設備や体制が知ってもらうことも必要と思われる。
<寄宿舎>
- 保護者懇談で、担任だけでなく寄宿舎担当も同席してくれると、一緒に話を聞けて良かったし、また先生方もお互いの様子が分かり良いのではと思った。
<人権教育>
- 引き続き、人権意識の向上と幼児児童生徒の自己肯定感を高める取組をお願いしたい。
<全体的を通して>
- 生徒数が減っていることについては、学校を知らないことでハードルが上がっていることもあるのかもしれないし、医学の進歩もあるのだろう。来年度中学部に在籍者いない。親としては、無理しても、普通学校で学ばせたい、できるところまでは通常学校で学びたい・学ばせたいと思う部分もあるだろう。インクルーシブ教育の流れがあるだろう。
- 在籍者を増やすための取組だけでなく、医療・福祉・教育が一体となった機関、視覚障害教育のセンター的機能をさらに形にしていく取組もお願いしたい。
【学校関係者評価を踏まえた今後について】
- 具体的案を検討し次年度につなげたい。
- 本県における視覚障がいに特化した特別支援学校として、職員全員への専門性の浸透を図り、また、盲学校が、視覚障がい教育を幅広く理解してもらえるよう、効果的な啓発方法について今回の御意見を踏まえながら探り、校内全員で啓発活動に取り組みたい。