平成30年度学校評価アンケートの結果について
平成30年度スクールプランに基づく学校評価アンケートの結果について、公表します。
以下のPDF文書を、リンクを開いて御参照ください。
平成30年度 学校評価書
1 教育課程・学習指導
具体的取組
個に応じた指導体制を整え、児童生徒に主体的な学びを促す教育支援を行う。
- 学部や教科を越え教師間の連携を密にし、児童生徒の実態とニーズに対応した学習環境を整える。
- 個に応じた教材と指導方法の工夫を図り、児童生徒が自ら学び意欲を高める授業を実践する。
成果と課題
- 学部や教科を越えて児童生徒の実態把握に努め、教育環境を整えるために協議し合い、よりよい教育支援を行う体制が整ったことが100%という結果から考えられる。また、児童生徒の授業満足度は100%、主体的な学びについて、児童生徒93%、保護者83.3%といずれも目標値を上回った。
- しかし、児童生徒にとって分かりやすい授業であったとしながらも、「意欲的に学ぶことがあまりできなかった」とする自分自身の取り組み方を謙虚に反省する生徒の回答が1名あり、保護者からも「あまり楽しく意欲的に学べていなかった」との回答が2名あった。
改善策・向上策
- 今後も学部にとどまらず学校全体で連携し、あらゆる視点からの意見交換を行うことで、チーム盲学校として、児童生徒の主体的な学びを促す教育支援を目指したい。
- 児童生徒の授業における学習意欲の高まりが、個々の学力向上として表れるよう、引き続き教材や指導方法を工夫した分かる授業づくりに取り組んでいきたい。
- 今後、家庭学習においても自主的に課題に取り組めるよう支援を行い、同時に保護者に対しても家庭学習のサポート等について、教務や各学部、各学級発行の「通信」を活用して伝える機会を設けていきたい。
2 生徒指導
具体的取組
学校生活を通して、社会性と生活習慣の確立に努める。
- いじめの未然防止や早期発見に努め、思いやりや助け合いの心をもって行動する児童生徒を育てる。
- 挨拶や会話を通して、児童生徒の豊かな人間関係を育む。
成果と課題
- いじめに関するアンケートを実施した。定例の対策委員会では、学部学科主任からの報告によって、児童生徒の学校生活の様子を共通理解することができた。認知件数は0で、いじめを未然に防ぐことができた。
- 児童生徒の回答において、「~思いやりや助け合いの心をもって行動できなかった」、「~明るく挨拶し、会話を楽しむことができなかった」が昨年度より増えた。保護者においては、「~思いやりや助け合いの心をもって行動できなかった」という回答があった。個々の理由は不明であるが、他者との関係づくりが十分ではないことが、要因の一つと考えられる。
改善策・向上策
- いじめ対策に併せて、気がかりな児童生徒の欠席、遅刻、早退について対策を検討していきたい。
- 他者との関係づくりを促すために児童生徒数の減少に伴う学校行事や委員会活動等の規模の縮小を最小限に留め、全児童生徒が共に活動できる内容を工夫していきたい。
- 異年齢集団での活動の機会を増やすことにより、会話の幅をもたせ、コミュニケーション能力の向上を図っていきたい。
3 進路指導
具体的取組
児童生徒の自立と社会参加を目指し、関係機関と連携を深め、進路指導の充実を図る。
- 個々の進路目標を的確に把握し、ニーズに応じた情報収集と提供に努める。
- 関係機関と連携を図り、児童生徒に必要な進路行事を計画的に実施する。
成果と課題
- 児童生徒、保護者個々のニーズを把握し、それに応じた情報提供や進路行事等を十分に行えたと自己評価した教職員が昨年度より増え、8割に達した。こうした教職員の熱心な取組が生徒の満足度100%につながったと考えられる。しかし、保護者1名の満足が得られておらず、課題が残る。
- 各関係機関との連携、支援が、児童生徒、保護者の多様なニーズに応える大きな力となった。
改善策・向上策
- 年々多様化する児童生徒、保護者のニーズに応えるために、今後も福祉、労働等の各関係機関との連携を深めるとともに、さらに地域とのつながりも強めていきたい。
- 進路だよりや進路講演会等の内容を吟味し、卒業後の生活や進路に役立つ内容、新たな情報等の発信に努めたい。
- 面談、懇談会等の機会を捉え、保護者のニーズを随時聞き取り、それに応じた方策を講じたい。
4 保健管理
具体的取組
児童生徒の生命を守り、健康を維持するための安全で衛生的な環境づくりを目指す。
- 安全点検や避難訓練を通して、安全の確保と防災意識の向上を図る。
- 保健・給食目標を理解し、年間を通して健康的な生活ができるように指導する。
成果と課題
- 安全点検については、点検箇所を輪番制で点検することで、複数の視点による不良箇所の発見を行い、より確実な事故の未然防止に努めた。
- 煙体験や起震車体験といった体験を重視した避難訓練を行うことで、防災への意識を高め、理解を深めることができた。
- 給食だよりは、内容の見直し、カラー化、イラストの多用、特別号の発刊を行い、保健だよりは、理療科生徒への配付を行うことで、一定の評価を得ることができた。
改善策・向上策
- 引き続きしっかりと安全点検を行い、危険箇所の発見と改善による事故の未然防止に努めたい。
- さらなる防災意識の向上と知識、技術の習熟を目指し、年2回の避難訓練に加え、シェイクアウト訓練等にも取り組みたい。 保健、給食だよりの内容を充実させるとともに、保健委員会活動を通して、引き続き健康な生活を送ることができるよう情報発信していきたい。
5 図書・研究
具体的取組
視覚障害教育の専門性向上と一人一人の教育的ニーズに応じた授業づくりのため、研究・研修活動を推進する。
- 専門性に基づく授業づくりを推進するため、授業研究部を中心とした授業研究を充実させる。
- 専門研究部と連携を図り、視覚・情報支援機器等の活用に関する情報や研修機会の提供に努める。
成果と課題
- 教職員の自己評価結果から、授業研究部や専門研究部の取組を通して、一人一人のニーズに応じた授業づくりが概ね行われていたことが伺える。今後は「十分にできた」の割合を高める取組の必要を感じている。
- 生徒を対象とした視覚支援機器研修会を2回企画したが、1名しか参加を得られず、成果をあげることができなかった。具体的内容を示せなかったことや事前の周知不足が原因と考えられ、今後への課題となった。
改善策・向上策
- 今後も専門性に立脚した授業づくりの充実を目指し、授業研究部、専門研究部に加え、教科会とも連携して授業力向上に努めたい。特に、教科書、教材の電子化やそれらを効果的に活用するための授業改善と、教科教育及び重複障害教育における専門性の維持、継承に努めたい。
- 視覚障害支援機器を学習や生活に活かせるよう情報発信したい。そのために生徒を対象とした視覚支援機器研修の方法を工夫し、ニーズに対応した内容で実施していきたい。
6 教育相談
具体的取組
関係機関と連携し、地域の幼稚園・保育園・学校、視覚に障害のある乳幼児児童生徒に対する支援センターとしての役割を充実させる。
- 家庭や教職員で共通理解が図れるよう、子どもの見え方や支援の方法について、的確に分かりやすく伝える。
- 視覚障害支援センターとして、幼稚園・保育園や学校が行う「個別の支援シート」の作成に協力する。
成果と課題
- 保護者からは「教育相談を通して見やすくするコツがわかった」、学校等からは「指導の改善点や具体策、支援方法やかかわり方の助言を受けられた」などの記述があった。
- 教育相談の記録について「家族も客観的に子どもの実態を受け止めることができた」、学校等からは懇談について「専門的なアドバイスにより、保護者や学部内で共通理解が出来た」とあり、的確に分かりやすく伝えることができていたと言える。
- 「個別の支援シート」は、視覚に特化した様式を検討し提供した。視機能検査の実施や記載内容について助言するなどの協力も行った。
改善策・向上策
- 子どもの実態を的確にとらえ、必要な支援・配慮を提案できるよう、部内で事例検討を行い、今後はさらに視覚補助具の使用練習について、支援・指導方法を検討し、専門性の向上に努めたい。
- 家庭や教職員で共通理解を図るために、必要な情報をより分かりやすく伝えられるよう、記述方法を工夫し、教育相談記録の活用を促したい。
- 教育相談対象児の移行支援等を円滑に行なえるよう、在籍校の「個別の支援シート」の作成状況を把握し、作成の協力に継続して取り組みたい。
7 寄宿舎
具体的取組
集団生活の中で個性を大切にしながら、コミュニケーション能力を高め社会性を培う。
- 舎内での交流の機会を増やし、協調性やコミュニケーション能力を育てる。
- 一人一人の課題に応じて、基本的生活習慣の習得を目指した支援を行う。
成果と課題
- 舎生の指導目標達成のために「日常生活の手引き」や「自己チェック表」を活用したことから、寄宿舎指導員と保護者の目標指数は達成できた。また、POP会と称して舎生全員で取り組む活動を通し、余暇時間に指導員が中心となって協調性やコミュニケーション能力を育てるための働き掛けは積極的に行われた。しかし、児童生徒の挨拶や会話が増加したという自己評価にはつながらなかった。舎生への質問内容の見直しが必要と思われる。
改善策・向上策
- 今後も個別の指導計画に基づき、一人一人の課題について定期的に舎全体で確認と指導方法を検討しながら、基本的生活習慣の習得を図っていきたい。
- POP会の回数を増やし、多様な体験を通して舎生どうしの交流がさらに深まるように働き掛けていきたい。また、食事や掃除など日常生活の指導の中で会話の楽しさを味わわせたり、思いやりの気持ちが育つような声掛けを増やしたりするなど指導の充実を図りたい。
9 人権教育
具体的取組
児童生徒の人権感覚を育むとともに、他者とのかかわりの中で人権意識の向上を図る。
成果と課題
- 教員を対象とした人権研修を開催し、障害者差別解消法や福井県共生社会条例について学習した。
- 児童生徒と教職員が、互いに、学校行事や特別活動の場を通して、思いやりや助け合いを実践し、人権感覚を育むことができた。
改善策・向上策
- 今後も職員研修を継続的に実施し、人権意識の啓発と教育活動における人権擁護の実践に取り組んでいきたい。
- 児童生徒が自己肯定感を高め、互いを尊重し合いながら成長できるよう、学校行事や特別活動を中心に指導していきたい。
平成30年度 学校関係者評価書
【問】
学校評価の成果と課題について、御意見を伺いたい。また、今後の改善策・向上策が適切かどうかについても御助言を伺いたい。
意見を伺った方
- 福井県盲教育振興会会長
- 本校PTA会長
【教育課程・学習指導】
- アンケートの数値が良かったので、しっかりと評価されていると感じた。
- 成果と課題の取り上げ方が適切である。
- 課題を受け、改善策・向上策で学習意欲の高まりが個々の学力向上に表れるようという視点は、重要な受け止め方だと思う。
【生徒指導】
- いじめは相手の受け取り方次第のところもあるが、問題が無いのは非常に良い。
- 「思いやりや助け合いの心をもって行動できた」のA+Bが80%というのは、ハードルが高いように感じる。健常者でないが故に他の人に気を配る余裕がないところもあるかもしれない。
- 「思いやりや助け合いの心」について、自己評価することは難しい。児童生徒が目標をどこにもっていけばいいのか、自分で確認しやすい具体的な目標があるといいのかもしれない。
【進路指導】
- 成果と課題および改善策・向上策が適当だと思う。
- 進路指導に関しては、以前は評価が低かったが、成果が上がってきていると思う。
- 保護者の中の8%(1名)があまり行われていなかったと判断されている方がいるのが、信じがたい。進路指導をどう捉えるかかもしれない。小学部から理療科までの多様なニーズの中には、講演会の内容などが合わないという場合もあるかもしれない。
【保健管理】
- 安全点検を確実に実施ということは、できたら100%でないと保護者としても不安である。「おおむね」というのはどう判断したらいいのか。できれば全員が「しっかりと確実にできた」と回答してほしい。
【図書・研修】
- 視覚支援機器研修とはどういう内容か?視覚支援機器というからには、iPadのみならず、範囲も広くあると思う。研修をわざわざ行わなくても授業の中でできるのではないか。研修という形より各授業で生徒毎にやっていく方がいいように感じる。(回答:前年度の生徒のアンケートの中に、視覚支援機器を十分に活用できなかったという内容があり、今年度は更にステップアップを狙ってやってみた。しかし、日程やタイミングが合わずうまくいかなかったという反省がある)
- 視覚支援機器という名称も、範囲が広すぎるように思う。
- 事前に、具体的な希望を把握して行うと、研修自体も活きてくるのではないか。
【教育相談】
- 相談を受けている児童生徒はどこにいかれるか。(回答:見え方が基準以上のかたが多く地元の学校へ)
- 教育相談については、昨年度も良い評価であった。センター的機能は、十分に果たされているのではないか。
【寄宿舎】
- アンケートの3つめの回答の結果の低さが気になる。質問内容や選択肢の表現を見直すと、既に挨拶や会話が十分にできている子も評価しやすくなると思う。
- 保護者の評価は高いので、きちんと指導してもらっていると捉えていると思う。
- 子としては寄宿舎内での質問として捉えているし、保護者は寄宿舎に留まらず家庭や日常全般の中でと範囲を広げて捉えているのであろう。
【全体】
- 毎年、アンケート項目の結果を元に改善されていて、答えやすくなってきていると感じた。A+Bの合計が80%を越えている結果がほとんどなので、取り組みの成果が上がってきていると思う。素晴らしい。
【学校関係者評価を踏まえた今後について】
- 平成30年度学校評価の結果と、関係者評価でいただいた御意見やお褒めの言葉を励みとし、平成31年度スクールプランの策定に臨みたい。
- 平成31年度に向けて、分かる授業づくりに向けた授業改善を通して、個々の児童生徒の学力向上と専門性の維持継承と向上に努めていきたい。
- 多様な媒体を通して児童生徒や保護者のニーズを把握し、ニーズに合った情報発信を継続していきたい。
- 本県における視覚障害に特化した特別支援学校として、更なる啓発を図っていきたい。
- 盲学校体験会やスポーツ、部活動を活用した交流を含め近隣の学校との交流活動の機会を増やし、共同学習の推進に努めたい。